「ホストは稼げる」とよく聞きますが、具体的にどのような計算で給料が決まっているのか、未経験者にはイメージしづらい部分も多いはずです。この記事では、ホストの給料の仕組みを「基本」「稼ぐ仕組み」「引かれるお金」の3つのステップに分けて、初心者にも分かりやすく解説します。
ホストの給料=「安心」+「成果」のハイブリッド
ホストの給料システムを一言でいうと、「最低限の生活を守る保証」と「頑張った分だけ天井知らずに増える歩合」の組み合わせです。
初心者の生命線「最低保証給(保証給)」
未経験で入店してすぐにお客様を呼べる人は多くありません。売上がゼロでもホストが生活できるよう、多くの店では「最低保証給」制度を設けています。
最低保証給の仕組み
一般的なアルバイトの「時給」や「日給」と同じです。
最低保証給の金額相場
日給7,000円〜10,000円程度、あるいは月給15万〜20万円程度が相場です。ホストの仕事で思い描くような大金ではありませんが、最低限の生活はができます。
金額に幅があるのは各店での違いの他、未経験か経験者か、または売上が0円かいくらか売上があるか、などで変わります。
最低保証給の注意点
最も勘違いされるのは最低保証給は基本的に永久支給ではない点です。「入店後3ヶ月〜半年間」という期間限定(新人期間)のケースがほとんどです。この期間中に自分のお客様を作り、歩合制へ移行するのが最初の目標になります。
高収入の鍵「完全歩合制(バック)」
保証期間が終わる、あるいは一定の売上を作れるようになると、この「完全歩合制」が適用されます。完全歩合制はホスト独自のものではなく、一般企業の営業マンもこのシステムを用いている場合があります。完全歩合制で支給される給料は歩合給、インセンティブと呼びます
ホストが天井知らずに高額の給料を稼げるのはこの仕組みがあるからです。働き始めて1年ほどで年収1000万円~1億円を稼ぐホストもいます。
参考情報:ホスト未経験で大金を稼ぐ歌舞伎町ホスト
バック率(歩合率・還元率)
自分の売上のうち、何%が給料になるかという割合のことです。当然ながら割合は多ければ多いほど良く、バック率が違えば同じ売上金額でもホストの収入は変わります。
バック率の相場
40%〜60%が相場です(例:100万円売り上げたら40万〜60万円が給料になる計算)。完全歩合制ではなく、日給+歩合制の場合のバック率は5~15%ほどに低くなる場合があります。
小計バックと総計バック
歩合給の計算に用いる売上額には2種類あります。飲食代や指名料のみの合計である小計と小計にサービス料や税を加えた総計(総売)です。
小計バックは小計を基に計算し、総計バックは総計を基に計算します。総計の方が売上額が大きくなるのが常なので、同じバック率だった場合は総計バックの方がホストの給料額は増えます。
例:小計100万、サービス料が30%、バック率が50%の場合。
小計バック:100万×50%=50万
総計バック:100万+30%(サービス料)×50%=65万
スライド制
多くの店で採用されているシステムで、「売上が上がれば上がるほど、バック率も高くなる」仕組みです。
例:売上50万ならバック率40%だが、売上100万を超えたらバック率が50%にアップする、など。
給料以外にもらえる「賞金(手当)」
基本の給料にプラスして、ゲームのボーナスのように支給される「賞金」があります。特に新人のうちは、これが大きなモチベーションになります。いくつか例を挙げます。
遅刻・欠席なしで出勤すると支給。毎日出勤するレギュラー勤務のホストのみが対象。スキル不要で獲得難易度は低め。数年レベルで皆勤賞を獲得し続けているホストもいます。
新人の中で一番頑張った(売上や指名数など)人に支給。時期によってはライバルが少なく狙いやすくなることも。他のホストからの投票制の場合もあります。
ヘルプをこなした回数の多いホストや、貢献度の高いホストに支給。新人でも狙いやすい賞金の1つです。
月間の売上・指名数が最も多いホストに支給。すでに多くの歩合給を得ているホストが対象になるため、ちょっとしたおまけのようなものです。
接客以外に新人指導や店舗運営など特定の責任を負う幹部クラスのホストに支給される固定給のようなもの。上位の役職になると固定額ではなく、お店全体の売上の〇〇%など歩合給のような仕組みになる場合もある。
その他にも「SNS賞」や「努力賞」など、店ごとのユニークな賞金もあります。 一つ一つは数千円〜数万円ですが、積み重なるとバカになりません。
要注意!給料から「引かれるもの(控除)」
求人情報の「給料額」がそのまま手取りになるわけではありません。ホストならではの経費やルールがあります。
毎月かかる経費
以下の内容は必要経費と考えましょう。
寮費
多くのホストクラブには、寮がありますが実際にはホストクラブが所有、もしくは契約している一般の賃貸マンションに住むことになります。その賃貸料が寮費として給料から引かれます。
複数人で住むことが多いため、1人当たりの負担額は一般的な賃貸料より安くなる場合がほとんどです。逆に個人寮の場合は寮費が高くなります。
最初の数ヶ月間は寮費を無料にしてくれるホストクラブもあります。
ヘアメイク代
多くのホストは、セットサロンで自腹でセットしてもらっています。店舗でやってくれる場合もありますが、経費として数千円引かれることもあります。
専属のヘアメイクをホストクラブが雇用している場合は無料になることもあります。
スーツレンタル代・クリーニング代
新人ホストは、ホストクラブが用意しているスーツを貸してもらえます。レンタル自体にお金がかかるホストクラブもありますが、無料の場合でも「クリーニング代」として給料から引かれることがあります。
私服勤務の場合は、関係ありません。
雑費・厚生費
ホストクラブを含む水商売業界特集の経費。お店の備品代や慰安旅行積立などとして引かれることがあります。
自分の行動次第で給料から引かれるもの
注意しておけば防げるものなのでできるだけ避けましょう。
罰金
遅刻、無断欠勤、お店のルール違反をした場合に発生します。店舗によりますが、罰金はかなり高いので、売上の無いホストが遅刻や欠勤を多くしてしまうと給料がほとんどなくなってしまいます。
最近のホストクラブは罰金が無いお店も多く見かけます。ただし、ルール違反を繰り返すと降格・減給・クビになることはあります。
売り掛け
ホスト特有のシステムで、お客様の会計を一時的にホスト(お店)が立て替える「ツケ」のこと。
これを期日までに支払ってもらう(業界用語で「回収」)ことができない場合、ホストの給料から差し引かれる(給引き)ことがあります。
ホストクラブの売り掛けが社会問題になった際、売り掛けを止めたお店・グループがありました。
給料シミュレーション:実際いくら貰えるの?
保証給の新人と歩合給のベテランです。
パターンA:入店1ヶ月目の新人(保証給適用)
売上がまだ少なくても、保証給のおかげで生活は安定します。
売上: ほぼ0円
支給額: 日給保証 8,000円 × 25日出勤 = 200,000円
ここから寮費などを引いた額が手取りになります。
パターンB:入店半年後、少し慣れてきたホスト(歩合制適用)
一般的な同年代の会社員の月収を簡単に超え始めます。
売上: 100万円
バック率: 50%(スライド制でアップ)
支給額: 100万円 × 50% = 500,000円 + 賞金(皆勤賞など)
給料の支払い方法
振込が一般化しているこの時代でも、ホストクラブの大部分は手渡しです。
銀行に行く手間などが困難という理由や、ホストの入れ替わりが激しいため対応するのが大変なので手渡し制を設けているそうです。
また、現金で手渡しした方がホストがいくら稼いだかを実感でき、他のホストとの競争心を煽ることができるというのも理由となっています。
まとめ:未経験者が最初に意識すべきこと
ホストの給料システムは「最初は守られ、慣れたら実力勝負」という構造になっています。
- 保証期間(最初の3ヶ月〜半年)で一人前を目指す:売上がなくても給料が出る期間に、接客スキルを磨き、先輩からノウハウを盗みましょう。
- 「引かれるお金」を把握する:特に「罰金」と「売り掛け」は自分の管理次第でゼロにできます。無駄な出費を抑えることが、手取りを増やす近道です。
- 現金手渡しの重みを知る: 多くの店では給料が現金手渡しです。厚みのある封筒を受け取る瞬間の高揚感は、ホストならではの醍醐味であり、次の月への活力になります。
このシステムを理解した上で、自分に合った(特に「最低保証」や「教育体制」がしっかりした)お店を選ぶことが、ホストとして成功する第一歩です。
参考情報
この記事を執筆するにあたり、参考にした情報です。
体験入店への道 記事リスト
ホストの仕事に興味がわいたら気軽に体験入店を始めましょう。
体験入店については下記の記事を参照してください。
- 体験入店への道・其の一~体験するホストクラブの選び方~
- 体験入店への道・其の二~ホスト求人の応募方法~
- 体験入店への道・其の三~面接や履歴書の書き方について~
- 体験入店への道・其の四~いざ、体験入店へ出発~
- 体験入店への道・其の五~体験入店の流れ~
ホスト求人・体験入店レビューリンク
サイト内で紹介しているレビュー記事も参考に。



